伝統技術により作られる刃物の意義
こんにちは、弟子です。
今回は少し真面目な話ですが…
先日、ドイツからお客様がお見えになりました。
日本の伝統手法で作られる刃物、いわゆる「手打ち」の刃物に強く興味をお持ちで、当製作所がいまだに横座(火床前)・先手(大ハンマー)の火造りで刃物を鍛えていることを伝えるととてもお喜びでした。
包丁をお求めでしたので、「ドイツも有名な刃物の産地ではないか」と尋ねたところ「現在は機械化が進んだため、自分が欲しいハンドメイドの包丁はわずかしかない」と仰っていました。
振り返って日本も例外ではなく、伝統技術の衰退を考えさせられるお話しでした。
NTTタウンページのデータベースによると、「刃物製造・卸」の登録件数が2007年は2017件であったのに対し、2021年は1084件とほぼ半減したことが分かります。
ここ最近では、彫刻刀や鑿で有名な「小信」さんが廃業したとの話も聞きました。
日本伝統の打刃物の先行きは見通せませんが、今後も必要とされる技術であるのは間違いありません。
一例として、岐阜県は全国の鍛冶職人の現状等を把握し、技術の存続を図るプロジェクトを推進しています。
「道具」を作る鍛冶屋が消えれば、道具が必要なその他伝統技術も継承ができないからですね。
ドイツのお客様からも「ぜひ勉強を続けてほしい」と言われました。
弟子は刃物が好きでやっているだけで、技術継承だとか存続だとか重く考えてはいませんが、早く鍛冶屋として独り立ちできるよう努力したいですね。
最後に、お客様とのやり取りのなかで、
「世界にはあらゆる国・人種・宗教・文化の違いがあるが、食べるという行為・習慣はみな同じ、共通です。食に感謝・誇りをもって、食を作る道具にもこだわりたい」
とのお話しを頂き、弟子が勝手に感銘を受けましたのでご紹介します。
…弟子の解釈違いでしたらスミマセン。
刃物製作に携わってまた一つ、目が覚めた思いです。
この度のご訪問とお買い上げ、誠にありがとうございました。