新年を迎えて
新年から1か月が経ちました。
弟子です。
本年も八重樫打刃物製作所をよろしくお願いいたします。
元日に発生した能登半島地震、テレビでは倒壊した街並みや隆起した地面など未だ非現実的な映像が流れています。
被災した方々や現地で復旧に尽力している自衛隊、警察、消防ほか関係者のことを思うと安直な言葉を使う気にはなりません。
今の弟子が行動で表せるのは買い物のお釣りをレジ横の寄付金箱に突っ込むことくらいです。
工房では仕事始めから継続して注文分の刃物を製作しています。
包丁の刃もだいぶまとまった数が出来てきたのですが、今度は「柄」の確保が難しくなってきました。
包丁の柄に限らず、特殊刃物の鞘をお願いしていた職人さんも先日廃業してしまいました。
鞘がなければお客様に商品を納めることもできません。
専門の職人さんがいなくなることの影響・痛手を身に染みて感じます。
黙っていても事態は解決しないので、継続して職人さんを探すか、これを機に自前で作るか、行動するほかありませんね。
工房の近況について
八重樫打刃物製作所HPをご訪問いただきありがとうございます。
冬らしい寒さとなり、数年ぶりにインフルエンザに罹患した弟子です。
11月4日(土)、テレビ朝日「週刊ニュースリーダー」で当製作所の包丁が紹介されました。
放送の反響によるものか、現在も多くのお問い合わせを頂いております。
大変ありがたいことなのですが、弟子一人で対応するには正直白目を剥くほどの数でした。
最初は個別にご連絡していたものの、連絡だけでひと月以上かかるのは間違いない状況です。
そこで、知人の助言を受けて今回初めてメールソフトを導入し、メールの一斉配信を試みました。
しかしながら、迷惑メールとなって読まれていなかったり、アドレスの誤りにより不達だったりと、これも一筋縄ではいかず困りました。
(確実に双方の意思を確認できるのは電話連絡なんですけどね)
12月7日現在、お客様全員に情報が行き渡るよう対処しましたが、それでも「連絡がきていない」という方は大変お手数ですがご一報いただきますようお願い申し上げます。
ご連絡する中で、「何年かかっても良い」「お身体に気を付けて」と温かいお声がけをたくさん頂戴し、より一層頑張らねばと親方以下気を引き締めております。
お伝えした納期より早くお届けできるよう製作所一丸となって製作していますので、今しばらくお時間を頂戴したいと思います。
注文に関することでご質問がある方はご遠慮なくお知らせください。
今後とも八重樫打刃物製作所をよろしくお願いいたします。
包丁の名入れサービス
今日で8月が終わり、子どもたちも明日から学校です。
カレンダーで8月31日の日付を見ると、夏の終わりを感じる弟子です。
といっても東京はいまだ猛暑日ですが…
今回は包丁の名入れについてのご紹介です。
HPを見ていると、名入れサービスに関する記載がないことに気付きましたもので。
名入れの例です。
「魁」「宗秋」いずれも職人の手彫りにより刻んでいます。
手彫りですので、同じものは一つもありません。
(画像:宗秋骨スキ包丁、ココボロ柄)
ご自身の名前を刻んで、自分だけの特別な一本とするのも良いですね。
過去には「自分でデザインしたナイフの銘を刻みたい」というお客様もいました。
プレゼントや記念品として名前と日付を入れても喜ばれるかと思います。
包丁をご注文の際は名入れも合わせてご検討してみてはいかがでしょうか。
革包丁の使用感
酷暑の毎日、今年は異常に暑いですね。
若い頃は夏が一番好きでしたが、年齢とともに暑さが身体にこたえるようになった弟子です。
もともと「弟子のつぶやき」として始まったこのブログ、今回は本当に弟子の独り言です。
休日かつ時間が許すときに限りますが、弟子は工房を借りて自分用の刃物を作ったり、愛車の原付をいじったりしています。
先日、エアクリボックスという部品を入手したので手入れを行っていた際のことです。
付属のゴムチューブを交換しようと苦労して引っ張り取ったところ、隙間埋めの接着剤が固着していました。
これが曲者で、爪でひっかいてもなかなか取れないうえに嫌にベタ付いていて、剝がすのに良い道具はないかと工房内をウロウロしていました。
そこで見つけたのが工房備え付けの古い革包丁。
試しに使ってみると綺麗に除去することができました。
本来ならスクレーパーでやるところなのでしょうが、形が似ているしより鋭利に刃付けしてあるので、まさに「切り剥がす」といった感覚です。
革包丁を使ってみて、道具としての便利さ、切れ味と刃裏の大事さを改めて感じました。
宗秋の革包丁の裏は基本ベタ裏(裏スキなし)の真っ平で製作しています。
今回の作業は切り取る面が平面でしたので、ベタ裏がそのままガイドとなり綺麗に切り剥がすことができたのでしょう。
使ってみて初めて「小回りも利くし便利だな」と気付かされた次第です。
このような小さな気付きを大事に、今後の刃物製作に活かしていきたいと思います。
葉鉋の角度表記について
八重樫打刃物製作所HPをご訪問いただきありがとうございます。
梅雨入りして天候が不安定ですね。
湿気が多いと鋼の錆びに気を遣いますし、雨嫌いの弟子です。
今回は葉鉋について思ったことを。
当HPの製品情報にも掲載しています葉鉋、主に建具師さんや組子職人さんが組子を作るときに使う特殊な鉋です。
問い合わせを受けた際に気付いたのですが、角度の表記について弟子の頭が「?」となったことがありまして。
結論からいうと、「削る木の角度」と「刃の角度」の二通りの表現方法があるということです。
ちなみに弟子は刃角のことしか頭になかったので混乱したんですね。
拙い図でスミマセンが、下図をご覧ください。
(例)麻の葉鉋:30度(刃角120度)
※実際は鉋台に入った状態で使用します、刃だけで使うわけではありません
図で見れば一目瞭然ですが、「角度30度」という文言だけでは削り方を含め、どこを基準とした角度を指しているのかとしばらく悩みました。
(弟子の解釈は違うよ、という方がいればご指摘お願いします)
上の例ですと、お客様が単に「30度の葉鉋」と言った際、削る木端や木口の角度が30度になるものを求めているのに対し、鍛冶屋は刃の角度が30度のものだと捉える場合がありますね。
葉鉋を扱っている各サイト様を拝見したところ、削る面の角度のみ表記していたり、刃角と並列表記していたり、そもそも呼称と角度が異なっていたりと様々でした。
正式な呼称と角度が何か把握できませんでしたが、これを機に当HPも葉鉋の紹介文を改めた次第です。
(正確に裏付けできればまたご紹介するかもしれません)
言葉や文章で正しく伝えることの難しさを改めて感じました。
特殊刃物に限らず、オーダーは図面を引いて相互確認するのが最善ですね。